

2017.12.23
ご相談者によれば、相続人はきょうだい二人だけなのですが、司法書士及び税理士の関与のもと、遺産分割協議を成立させたあと、他方のきょうだいが、被相続人の生前に多額の預金を引き出していたと思われることが判明し、一定の金額を返還してほしいというご相談内容でした。
そこで、遺産分割協議は有効であることを前提に、本来であれば、遺産分割協議の際に多額の引出しの事実が明らかになっていれば、分割協議の際に考慮できたはずであったにもかかわらず、他方の相続人がそのことを隠していたため、分割協議の際に預金の引出しを考慮することができなかったということで、他方の相続人に対し、不当利得返還請求訴訟を提起することで受任しました。訴訟提起後、他方の相続人は、被相続人からの生前贈与を主張しましたが、もし、そうであれば、遺産分割協議の際に特別受益として考慮すべきであったのに、それが考慮されずに分割協議を成立させながら、今になってそのような主張をすることは、訴訟上の信義則違反として許されるべきではないとの主張を展開し、双方、主張・立証を尽くした結果、裁判官から和解勧告があり、最終的には、相手方が一定額の和解金を支払うことで和解が成立しました。
本件では、紛争性が途中で顕在化したにもかかわらず、遺産分割協議の際に弁護士が関与していなかったため、その後のさらなる紛争に発展したと考えられることから、遅くとも紛争が顕在化した段階で、弁護士が遺産分割協議に関与すべきであったと考えます。そうすれば、遺産分割協議の際に特別受益の存在も明らかとなり、その存在を考慮した内容の分割協議を成立させることができ、その後の無用な訴訟を争う必要もなかったと思われます。
相続問題は、埼玉県所沢市の弁護士加藤剛毅にお任せ下さい。